カリキュラム(通学)

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(1)職務の理解
 ○研修課程全体の構成と各科目の関連性を説明し、学習の方向性を理解する。
 ○研修に先立ち、介護職がどのような環境で、どのような形で、どのような仕事を行うのか、 具体的なイメージをつかむ。
 ①多様なサービスと理解(通学:2時間)
 ・介護保険制度で提供されるサービス(居宅型、施設型、地域密着型) 
 ・市町村等で実施される介護保険外のサービス
 ②介護職の仕事内容や働く現場の理解(通学:4時間)
 ・居宅・施設の多様な現場におけるそれぞれの仕事内容
 ・ケアプランの位置づけからサービス提供に至るまでの一連の業務の流れと介護保険外サービ スを含めた地域の社会資源との連携
 ・介護職に係る各種資格とキャリアパス
 ・居宅・施設の実際のサービス提供現場の具体的イメージ(現場職員の体験談に基づき班ごと にディスカッション) 

(2)介護における尊厳の保持・自立支援
 ○自立支援・介護予防という考え方に基づいたケアと利用者の要望にそのまま応えることの違 いを認識し、利用者の残存機能を効果的に活用した「自立」という概念を理解する。
 ○利用者の尊厳を著しく傷つける言動とその理由について考察し、「尊厳」という概念を理解 する。
 ○虐待を受けている高齢者への対応について指導し、高齢者虐待に対する理解を深める。
 ①人権と尊厳を支える介護(通学:1.5時間)
 ・人権と尊厳の保持(個人としての尊重、アドボカシー、エンパワメント、役割の実感、尊厳 のある暮らし、利用者のプライバシー保護)
 ・QOLの考え方
 ・ノーマライゼーション
 ・虐待防止と身体拘束禁止(高齢者虐待防止法、高齢者の擁護者支援)
 ・個人の権利を守る制度の概要(地域包括支援センター制度、成年後見制度、日常生活自立支 援事業)
 ②自立支援に向けた介護(通学:0.5時間)
 ・自立支援(自立(自律)支援、残存能力の活用、重度化防止、自己選択・自己決定、動機の 欲求、意欲を高める支援、個別性ケア)
 ・介護予防(介護予防施策の推進・二次予防事業)
 ③人権啓発に係る基礎知識(通学:2時間)
 ・人権について
 ・人権への取り組みについて
 ・身近な人権について

(3)介護の基本
 ○具体的事例を通して介護職における専門性と職業倫理について理解する。
 ○介護におけるリスクと緊急時対応の重要性を理解するとともに、緊急事態に対してはサービ ス責任者・医療職と連携して対応する姿勢を醸成する。
 ①介護職の役割、専門性と多職種との連携(通学:1時間)
 ・介護環境の特徴と理解(地域包括ケアの方向性、医療との連携強化、介護人材の確保とサー ビスの質の向上
 ・介護の専門性(介護の理念と実践の原則、介護職が実施できる医療的ケア)
 ・介護に関する職種(異なる専門性を持つ多職種の理解、介護支援専門員、サービス提供責任 者、看護師等とチームを組み利用者を支える意味、互いの専門能力を活用した効果的なサービ スの提供、チームケアにおける役割分担)
 ②介護職の職業倫理(通学:1時間)
 ・職業倫理(専門職の倫理の意義、介護の倫理、介護職としての社会的責任、プライバシーの 保護・尊重)
 ③介護における安全の確保とリスクマネージメント(通学:0.5時間)
 ・感染症予防の基本事項
 ④介護職の安全(通学:0.5時間)
 ・介護職の心身の健康管理(介護職の健康管理の重要性、介護職のこころの健康管理、腰痛予 防に関する知識)

(4)介護・福祉サービスの理解と医療との連携
 ○介護保険制度の財源構成や保険料負担について理解するとともに、生活全体の支援の中で果 たされる介護保険制度の役割を理解する。
 ○障がい者総合支援制度やその他の制度について理解したうえで、利用者の生活を中心に考え るという姿勢を醸成する。
 ①介護保険制度(通学:0.5時間)
 ・介護保険制度創設の背景および目的と動向(ケアマネジメント、予防重視型システムへの転 換、地域包括支援センターの設置・推進)
 ・仕組みの基礎的理解(保険制度としての基本的仕組み、介護給付と種類、予防給付、要介護 認定の手順)
 ・制度を支える財源・組織・団体の役割(財政負担、制度運営にかかる行政組織)
 ②医療との連携とリハビリテーション(通学:0.5時間)
 ・医行為と介護(訪問介護・施設における看護と介護の役割と連携、リハビリテーションスタ ッフの役割)
 ③障がい者総合支援制度およびその他の制度(通学:0.5時間)
 ・障がい者の生活構造の理解(障がいの概念、ICF)
 ・障がい者総合支援制度の仕組みの基礎的理解(介護給付・訓練等給付の申請から支給決定ま での流れ)
 ・個人の権利を守る制度の概要(成年後見制度、日常生活自立支援事業、虐待防止制度)

(5)介護におけるコミュニケーション技術
 ○利用者との人間関係を著しく傷つけるコミュニケーションについて実例を通して理解した上 で、利用者の心身機能に合わせた技術や配慮が必要になることを認識する。
 ○チームケアにおける専門職間でのコミュニケーションの重要性を理解するとともに、情報共 有化の視点から記録・報告等を作成する必要性について認識する。
 ①介護におけるコミュニケーション(通学:2時間)
 ・介護におけるコミュニケーションの意義、目的、役割(コミュニケーション能力に対する配 慮、傾聴、受容、共感の応答)
 ・コミュニケーションの技法、道具を用いた言語的コミュニケーション
 ・利用者、家族とのコミュニケーションの実際(利用者の思いを把握する、意欲低下の要因を 考える、利用者の感情に共感する、家族の心理的理解、家族へのいたわりと励まし、信頼関係 の形成、自分の価値観で家族の意向を判断し非難することがないようにする、アセスメントの 手法とニーズ・デマンドの違い)
 ・利用者の状況に応じたコミュニケーション技術の実際(視覚・聴力の障がい、失語症、構音 障がいおよび認知症に応じたコミュニケーション技術)
 ②介護におけるチームのコミュニケーション(通学:1時間)
 ・記録による情報の共有化(利用者の状態を踏まえた観察と記録、個別援助計画書(訪問・通 所・入所・福祉用具貸与等)、ヒヤリハット報告書、5W1H)
 ・報告(報告、連絡および相談における留意点)
 ・コミュニケーションを促す環境(会議、情報共有の場、役割の認識の場(利用者と頻回に接 触する介護者に求められる観察眼)、ケアカンファレンスの重要性)

(6)老化の理解
 ○高齢者に多い心身の変化、疾病の症状等について理解する。
 ○加齢、老化に伴う心身の変化や疾病に対応する際の留意点を学習し、生理的側面の知識を身 につける重要性を認識する。
 ①老化に伴うこころとからだの変化と日常(通学:1時間)
 ・老年期の発達と老化に伴う心身の変化の特徴(防衛反応(反射)の変化、喪失体験)
 ・老化に伴う心身の機能の変化と日常生活への影響(身体的機能の変化と日常生活への影響、 咀嚼機能の低下、筋・骨・関節の変化、体温維持機能の変化、精神的機能の変化と日常生活へ の影響)
 ②高齢者と健康(通学:2時間)
 ・高齢者の疾病と生活上の留意点(骨折・筋力の低下と動き、姿勢の変化、関節痛)
 ・高齢者に多い病気と日常生活上の留意点(循環器障がい、脳疾患、循環器障がいの危険因子 と対策、老年期うつ病症状、誤嚥性肺炎、廃用症候群)

(7)認知症の理解
 ○認知症の利用者の心理・行動の具体例を提示し、介護において認知症を理解することの必要 性を認識するとともに、認知症の利用者を介護する際の原則について学習する。
 ①認知症を取り巻く状況(通学:0.5時間)
 ・認知症ケアの理念(「生活者」としての理解)
 ②医学的側面から見た認知症の基礎と健康管理(通学:1時間)
 ・認知症の概念(もの忘れとの違い、せん妄の症状)
 ・原因疾患別ケアのポイント(脱水・便秘・低栄養・低運動の防止および口腔ケア、認知症に 使用される薬、薬物療法)
 ③認知症に伴うこころとからだの変化と日常(通学:1時間)
 ・認知症の心理・行動の特徴(認知症の中核症状、認知症の行動・心理症状(BPSD)、不 適切なケア、生活環境の改善)
 ・認知症の利用者への対応(本人の気持ちを推察する、プライドを傷つけない、相手の視線に 合わせる、失敗しないような状況を作る、全ての援助行為がコミュニケーションであると考え る、身体を通したコミュニケーション、相手の様子・表情・姿勢などから気持ちを洞察する、 認知症の進行に合わせたケア)
 ④家族への支援(通学:0.5時間)
 ・家族への支援(認知症の受容課程での援助、負担の軽減(レスパイトケア))

(8)障がいの理解
 ○高齢者の介護との違いを念頭に置きながら、障がいの特性と介護上の留意点について学習す るとともに、障がいの概念とICFの基本的な考え方を理解する。
 ①障がいの基礎的理解(通学:0.5時間)
 ・障がいの概念とICF(ICFの分類と医学的分類、ICFの考え方)
 ・障がい者福祉の基本理念(ノーマライゼーションの概念)
 ②障がいの医学的側面の基礎的知識(通学:0.5時間)
 ・さまざまな障がい(統合失調症、感情障がい、依存症などの精神疾患、高次脳機能障がい、 広汎性発達障害、学習障がい、注意欠陥多動性障がい等の発達障がい)
 ③家族の心理・かかわり支援の理解(通学:0.5時間)
 ・家族への支援(障がいの理解、障がいの受容支援、介護負担の軽減)

(9)こころとからだのしくみと生活支援技術
 ○介護技術の根拠となる人体の構造や機能に関する知識を学習したうえで、安全な介護サー  ビスの提供方法を習得し、基礎的な一部または全介助等の介護が実施できるようにする。
 ○尊厳を保持し、その人の自立および自律を尊重し、持てる力を発揮してもらいながら、その 人の在宅・地域等での生活を支える介護技術や知識を習得する。
 ○「死」に向かう生の充実と尊厳ある死について考える姿勢を身に付ける。
 Ⅰ.基本知識の学習
 ①介護の基本的な考え方(通学:1時間)
 ・倫理および法的根拠に基づく介護(ICFの視点に基づく生活支援、我流介護の排除)
 ②介護に関するこころのしくみの基礎的理解(通学:2時間)
 ・こころのしくみ(学習と記憶の基礎知識、感情と意欲の基礎知識、自己概念と生きがい、老 化や障がいを受け入れる適応行動とその阻害要因、こころの持ち方が行動に与える影響、から だの状態がこころに与える影響)
 ③介護に関するからだのしくみの基礎的理解(通学:3時間)
 ・からだのしくみ(骨・関節・筋に関する基礎知識、ボディメカニクスの活用、中枢神経系と 末梢神経系に関する基礎知識、自律神経と内部器官に関する知識、こころとからだの包括的理 解)
 Ⅱ.生活支援技術の学習
 ④生活と家事(通学:3時間)
 ・生活と家事(家事支援の必要性と目的、買い物、洗濯、清掃支援のための基礎知識)
 【演習実施方法】
  様々な家事援助のロールプレイ
 ⑤快適な居住環境整備と介護(通学:3時間)
 ・高齢者・障がい者特有の居住環境整備と福祉用具に関する留意点・支援方法
 【演習実施方法】
  福祉用具等を用いたロールプレイ
 ⑥整容に関連した心と体のしくみと自立に向けた介護(通学:7時間)
 ・整容に関する基礎知識・整容の支援技術(身体の状況に合わせた衣服の選択・着脱、身支度 、整容行動)
 ・洗面の意義・効果、口腔ケア
 【演習実施方法】
  様々な状況を想定した整容・着脱等のロールプレイ
 ⑦移動・移乗に関連した心と体のしくみと自立に向けた介護(通学:13時間)
 ・移動・移乗に関する基礎知識(利用者の自然な動きの活用、残存能力の活用・自立支援、重 心、重力の働きの理解、ボディメカニクスの基本原理)
 ・移動介助の具体的な方法(車いすへの移乗の具体的な方法、全面介助でのベッド・車いす間 の移動、全面介助での車いす・洋式トイレ間の移乗)
 【演習実施方法】
  車いすでの移乗・移動、視覚障がい者の歩行介助、肢体不自由者の歩行介助を中心としたロ ールプレイ
 ⑧食事に関連した心と体のしくみと自立に向けた介護(通学:4時間)
 ・食事に関する基礎知識(食事のケアに対する介護者の意識、低栄養・脱水の弊害、口腔ケア の定義、誤嚥性肺炎の予防、食事の好み)
 ・食事環境の整備、食事に関連した用具・食器の活用方法とからだのしくみ(食事と姿勢、咀 嚼・嚥下のメカニズム、空腹感と満足感)
 【演習実施方法】
  肢体不自由者、視覚障がい者の食事介助におけるロールプレイと口腔清掃
 ⑨入浴と清潔保持に関連した心と体のしくみと自立に向けた介護(通学:7時間)
 ・入浴、清潔保持に関連した基礎知識(羞恥心への配慮、体調の確認、全身清拭とその方法、 目・鼻腔・耳・爪の清潔方法、足浴・手浴・洗髪とその方法)
 ・様々な入浴用具と整容用具の活用方法
 【演習実施方法】
  様々な状況を想定した入浴介助のロールプレイ
 ⑩排泄に関連した心と体のしくみと自立に向けた介護(通学:7時間)
 ・排泄に関する基礎知識(排泄の身体面・心理面および社会的な意味、プライド・羞恥心への 配慮とプライバシーの確保、おむつ使用の弊害、便秘の予防)
 ・様々な排泄環境整備と排泄用具の活用方法(排泄障がいが日常生活に及ぼす影響、一部介助 を要する利用者のトイレ介助の具体的方法)
 【演習実施方法】
  ベッドからポータブルトイレへの介助、ベッド上でのおむつ交換および差し込み便器・尿器 を用いたロールプレイ
 ⑪睡眠に関連した心と体のしくみと自立に向けた介護(通学:1時間)
 ・睡眠に関する基礎知識(安眠のための介護の工夫、環境の整備、安楽な姿勢と褥瘡の予防)
 ・様々な睡眠環境と用具の活用方法
 ⑫死にゆく人に関連した心と体のしくみと終末期介護(通学:1時間)
 ・終末期に関する基礎知識と心と体のしくみ(終末期ケア、高齢者の死に至る過程、臨終が近 づいたときの兆候と介護、多職種間の情報共有の必要性)
 Ⅲ.生活支援技術演習
 ⑬介護過程の基礎的理解(通学:5時間)
 ・介護過程の目的・意義・展開、介護過程とチームアプローチ
 【演習実施方法】
  ICFに基づくアセスメント、介護計画の立案、さまざまな事例をテーマにしたディスカッ ション
 ⑭総合生活支援技術演習(通学:6時間)
  生活の各場面での介護については、ある症状の利用者を想定し、一連の生活支援を提供する 流れの理解と技術の習得および利用者の心身の状況に合わせた介護を提供する視点の習得を目 指す。
  認知症・片麻痺の2事例を想定し、こころとからだの力が発揮できない要因を分析する。そ の上で、適切な支援技術の検討、支援技術の演習を行い、最後に支援技術の課題を挙げる場を 設ける(1事例1.5時間程度で上記のサイクルを実施)。

(10)振り返り 
  研修全体を振り返り、本研修を通じて学んだことについて再確認を行うとともに、就業後も 継続して 学習・研鑽する姿勢を醸成する。
 ①振り返り(通学:3時間)
 ・研修を通して学んだこと、今後継続して学ぶことについてグループディスカッション
 ・根拠に基づく介護についての要点(利用者の状態像に応じた介護と介護過程、身体・心理・ 社会面を総合的に理解するための知識の重要性、チームアプローチの重要性)
 ②就業への備えと研修後における継続的な研修(通学:1時間)
 ・継続的に学ぶこと
 ・研修終了後における継続的な研修について、具体的にイメージできるような事業所等におけ る実例(OFF-JT、OJT)を紹介

使用テキストは「介護職員初任者研修課程テキスト1~3」株式会社日本医療企画発行